遠藤文庫

定期連載「雪の彫刻たち」第三部その3
2002.02.04

今日のBGM「Perfumed Garden」ヨシヒロサワサキ

この前のキリハラのテープは「WATER ELEMENT」というタイトルで数十本コピーされ、各レコード会社、レーベル、オーディション関係にばらまかれたらしい。「らしい」というのは、その辺のことは、キリハラが主に行なったことで、僕はノータッチだったからだ。反応は、どこからもなかったらしい。

それにもめげず、僕たちはあたらしいデモテープ作りに着手した。1995年のことだ。春だった。コンセプトは「ポップなアンビエント」。キリハラは特にコンセプトを大切にする男なので、コンセプト作りには時間をかけた。いや、単なる思い付きだったかな?何にしろ、前作「WATER ELEMENT」が実質キリハラのソロ、そして、シリアスな内容だったため、少し力を抜いて、バンドーも関わるユニットもので行こう、ということだったと思う。

「ポップなアンビエントか。タイトルどうする?」「アンビエントポップ!」「そのまんまじゃん!」「ポップっつうぐらいだからかわいらしいのがいいねえ」「チャーミングなのがね」「あ!」「なに?」「アンビエントのスペルってambientだよね?」「うん」「それにcharmをくっつけて…」「チャームビエント!」「そう!charmbient!僕たちだけの造語!いいね!」「いいね!それでいこう!チャーミングなアンビエント!」「チャームっておまじないっていみもあるしね!チャームビエント!これで行こう!」

そんなわけで、僕たちは「charmbient」の制作を開始したのだ。

・・・つづく

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