遠藤文庫

定期連載「雪の彫刻たち」第二部その7
2002.01.21

今日のBGM「高気圧ガール」山下達郎

夏休みが来ていた。連日暑い日が続く。東京は特に夏が厳しい。東北育ちの俺は東京の夏は苦手だった。しかし、この暑さとも少しの間おさらばできる。軽音楽部の夏合宿で長野に行くことになっていたからだ。「涼しいんだろうなあ。」淡い思いを抱いて、俺は旅支度を急いだ。

今回の夏合宿ではいろいろなバンドを組むことが決まっていた。通常の練習では組めないバンド編成ができるのだ。キリハラとももちろん数バンド組むことになっていた。一つはシャーラタンズのコピーバンド(ボーカル俺!)、一つはジャパンのコピーバンド(ボーカルキリハラ!)、そしてもう一つはキリハラと俺の今回限りのユニット「エスキモーズ」だ。

「エスキモーズ」というユニット名は以前、俺らのユニット名を考えたときにスノーモービルズに次いで候補にあがってた名前だ。今回はこれを使うことにした。もちろん曲はオリジナル。今回はキリハラ一曲、俺一曲別々に作ったものを一緒にアレンジした。春にやったライブと同じように、カセットのバックトラックに合わせ、歌う予定だ。

そのカセットをバックに押し込んで、俺は家を出た。日差しがカーッと照りつけた。「バイバイ。東京の太陽。」俺は長野に向かった。

(・・・つづく)

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