折原文庫

東京クールスファイブ物語(第18回)
2002.02.17

第十八回~Live+Dive(ライヴ・アンド・ダイブ)~

宴は尚も続いている。

地元の若者の中に、随分と元気なやつがいて、みんなでコイツをいじって楽しんだ。彼はサトーさんが自分の友達の「まさるさん」に似ているといって、ずっとサトーさんを「まさるさん」と呼んでいた。

Pさんは名前を聴かれたとき「ノッコ番長」と答えたため、その日のパーティーでフレンズは演奏していないにも関わらず「ノッコさん」と呼ばれていた。

それからDJクンちゃんも紹介された。大変おとなしい青年であった。彼の素晴らしいDJプレイをみんなで褒め讃えたが、本人はいたく恐縮していた。

ところでこの神社は立て直されたばかりという話で、その際に作った檜風呂が自慢であった。飲むことに忙しかった男性陣は入らなかったが、Pさんは入った。

日本酒はもうすでに泡盛へと進化を遂げていた。そのころにはチラホラ人も帰りはじめ、人数は半分ぐらいになっていた。オレたちの本日のねぐらは、ココである。ココというか、この宴会会場と襖一枚で区切られたとなりの大広間が、オレらの寝室となるのであるから、宴会を途中で退席することもできない。

数が絞られ、残ったのは地元のツワモノたちだ。酒には強い。ちなみに東京クールスファイブの中で一番酒に強いのはサトーさんであろう。しかしそのサトーさんでさえもこの頃には泡盛によって相当のダメージを与えられていた。サトーさんがその状態であれば他のメンバーはもうとっくに許容量を越えている。

まずはリーダーが奇行におよんだ。となりの大広間に積み上げられた本日の我々のフトンに向かって「イエーイ!」と叫びながらダイブしたのだ!ドシーンと音がすると同時にどっと笑いが起きた。そのフトンの感触がよほど気に入ったのか、彼は再び立ち上がると助走をつけてもう一度それにチャレンジした。

中途半端に開いた襖の間々に、リーダーの姿が見えかくれしていた。そのため空中を飛んでいる瞬間がスローモーションのように見え、ものすごく笑えた。

(つづく)

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