折原文庫

東京クールスファイブ物語(第2回)
2001.10.19

第二回~バリバリズムの夜は更けて~

まずはじめに「フットルース」があった。そう、今夜のテーマはまず第一に曲決めだ。石田さんの口からメールのとおり「80年代しばり」というアイデアが出る。

「BORN TO BE WILDどうよ?」

いきなり80年代しばりはなくなった。

「銀蠅やろうぜ、銀蠅だったらウチにそろってるし」
「なんで持ってんの?」
「クリスマスと言えばワムでしょう」
「TAKE ON MEもよくない?」
「来る人のことも考えてわかりやすいのにしないとね」
「じゃあデュランデュランやろうぜ」
「ヤングマンもいっとく?」
「沢田研二のTOKIOやりてえな」

……結局テーマは特になく、ただやりたいのみの選曲である。しかし今回はあくまでクリスマスパーティーなのだ。楽しければいいのだ。

 そして次に問題になったのは足りないメンバーの問題である。この時microstarのPさんが今回のもくろみに参加したいとの打診あり、紅一点としてレベッカの「フレンズ」を歌ってもらうこととなった。しかしドラマーがいない。と、ここで突然石田さんから思わぬ人物の名前が出た。

「遠藤さんやんないかなあ?」

遠藤とはもちろんスノモーの遠藤裕文その人である。しかし当時遠藤さんは仙台在住。単純にスケジュールの問題がある。しばし全員で悩むも、「とにかく電話してみようぜ」の一言で夜遅い遠藤家に電話する酔っぱらい三人。ちょうどいいことに電話に出たのは遠藤さんであった。

「あ、やるやる。」

オレらの心配をよそに、即決であった。

あとは話は早い。今度はリハーサルの日取りだ。しかし石田さんがレコーディングで海外に行く予定があり、どうやら2日しかリハができないということであった。まあ一応オレらバンドやってるわけだし、2日でなんとかなるだろうという甘い考えのもと、とりあえず予定日を決定。やる曲はオレが集めてみんなにテープで送ることになった。しかし実は話が決まってからの方が長い。このまま二次会へとすすみ、最後は松屋でカレー&朝帰りのフルコースとなったわけである。

白みはじめた東の空を見上げ、ほろ酔いかげんの足取りのオレは、この時これから何かがはじまるんだ!新しい夜明けなんだ!とココロにほとばしる熱いなにかを押さえきることができなかった…などということは一切なく、早く家に帰って寝ることばかりを考えていたのであった。

(つづく)

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