折原文庫

東京クールスファイブ物語(第1回)
2001.10.18

第一回~バリバリ前夜~

 はじめにお断りしておくが、この物語は折原個人の記憶の産物であり、よって実際の出来事とは異なる場合も多分にある。何せもうかれこれ4年ほど前のことなのだから仕方がないではないか。というわけで話はぐっと過去へと遡る。

 それは1997年の9月29日。オレの使い古したLC520に一通のメールが届いた。スクーデリアの石田さんからだ。

「知り合いが実行委員をやってる、とある田舎町のクリスマスパーティーでバンドをやりたいと思っているんだけど一緒にやらない?80年代のヒット曲なんか盛り上がりそう。ドラムはあてがあるので、あとキーボード誰かいるといいんだけど。」

 オレは二つ返事でオッケーのメールを出し、キーボードの上手そうな人の名前を数人あげ、次点としてmicrostarのナイス佐藤さんの名前をあげた。すると早くも数時間後に返信が来た。

「ナイス君はいいかも。でも俺、彼が鍵盤弾くとこみたことないんだけど。」

 何を隠そう実はオレもそうであった。ただ何となくシンセに詳しい人はキーボードも弾けるのではないかと思って、とりあえず名前をあげておいただけだったのである。急いで佐藤さんにメールを出し主旨を説明したところ、わりとノリ気で、鍵盤も「まあ曲決まってないからわかんないけど、何とかなんじゃない?」というような低血圧ぎみのメールが返ってきた。

 それ以降オレはこの2人と何度かやりとりし、ついにこのバンド初めての会議が三軒茶屋のキタナイ飲み屋で催されたのである。オレは当時住んでた家が近かったこともあり、2人よりも早くついた。次にやって来たのは石田さんで、ドラムのあてがはずれたので誰にするか相談したいという話しであった。そうこうしてるうちに遅れて佐藤さんが到着し、まずは3人ビールで乾杯。そう、そして伝説はこの夜から始まるのである。

(つづく)

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