折原文庫

それは「クイック・レストラン」
2003.04.11

家のそばにある「松屋」にメシを食いにいったら、「Sガスト」という店が近くにオープンしていた。その場所はずっと前はなんたら市場とかいう、ネギトロ丼のようなものをメインに出す松屋タイプの食べ物屋だった。その次は塩天丼という地味な食べ物をメインにした店だった。そしてどれも短命であった。

もうこの土地の霊のしわざとしか思えないほどのネガティブな条件を満たした場所にまたしても現われた「Sガスト」。左斜め前には「松屋」があり、さらに右斜め前には塩天丼屋を破滅に追いやった新進気鋭の「すき屋」がある。気がつかぬうちにオレん家のそばは、まさにカウンター系(テキトーな呼び名)フード店の激戦区となっていたのだ!

さて、「松屋」に行ったオレだが、新しもの好きのため「Sガスト」へ。「Sガスト」の看板のキャッチコピーは『クイック・レストラン』となっている。ファミレス「ガスト」の新しいチェーン展開のようだ。カウンターが10数席のみの店内へ入る。もちろん食券制だ。メニューはまあこれといって特別なところはない。値段も定食は490円、590円が基本だ。しかし松屋と違うのはメシ、みそ汁、メインディッシュのみで、サラダが付属しないことだ。さりげないコスト削減なのであろう。オレは松屋のサラダを食うつもりで家を出て来たこともあり、「豚しょうが焼き定食」+「サラダ」に決めた。

まずサラダが出て来た。別料金100円のサラダはいったいどんなものかと期待しただけにガックシくる。千切りキャベツにコーンがのかった少なめサラダ。「上品ぶりやがって!」心の中でオレはつぶやいた。

そして引き続き定食の登場だ。食った。まあ上手い。普通に。

オレは食べながら考えた。「Sガスト」は「松屋」と比べてなんとなく全体的に品がいい。そのヒミツは何なのかと。

サラダの件はともかくとして、まずワカメ入りみそ汁の上に浮かんだネギ!コイツがまず曲者だ。確実に高感度アップに一役買っている。メシは普通だ。そして……あああああーーーーーーーっ!!!!!!

オレは気がついた。そうだ!豚のしょうが焼きのとなりに盛られたキャベツの千切りの上に、なにげに乗っているパセリ!コイツのせいか!松屋で出てくるものには一度たりとも『盛り付け』のココロを感じたことがないが、「Sガスト」にはそれがあったのだ。なるほどね。

この上品さで「松屋」と「すき屋」に勝てるのかどうかは時間が教えてくれるに違い無い。

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