遠藤文庫

定期連載「雪の彫刻たち」第三部その8
2002.02.16

・・・S社から反応はなかった。

その代わり、シンクシンクから電話があった。「テープ気に入ったよ。で、是非このテープ、アルバムにしたいんだけど。」・・・なぜ?

S社の担当の人が、テープをシンクに送っていたのだ。そのうえ、これは後で聞いたことなのだが、シンクのY氏は以前送っていた「water element」をいたく気に入って、家でずっと聞いていたそうだ。偶然とは、こうやって起こるものなのだ。

こうして僕らはデビューすることとなったのだ。ちょっとした奇跡と、ちょっとした偶然が、僕の人生を少しばかり揺さぶった。いや、ものすごく揺さぶったかもしれない。

いままで僕たちは走り続けてきた。これからも僕たちは走り続ける。粉雪を舞い上げながら。

「あのさ、エンドーさんさ。」「うん。」「スノーモービルズってさ、雪の彫刻たちって意味になるよね。」「素晴らしいねえ…。あ、オリ、テレビで寛平ちゃんがんばってるよ。」

・・・「雪の彫刻たち」完

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