・・・S社から反応はなかった。
その代わり、シンクシンクから電話があった。「テープ気に入ったよ。で、是非このテープ、アルバムにしたいんだけど。」・・・なぜ?
S社の担当の人が、テープをシンクに送っていたのだ。そのうえ、これは後で聞いたことなのだが、シンクのY氏は以前送っていた「water element」をいたく気に入って、家でずっと聞いていたそうだ。偶然とは、こうやって起こるものなのだ。
こうして僕らはデビューすることとなったのだ。ちょっとした奇跡と、ちょっとした偶然が、僕の人生を少しばかり揺さぶった。いや、ものすごく揺さぶったかもしれない。
いままで僕たちは走り続けてきた。これからも僕たちは走り続ける。粉雪を舞い上げながら。
「あのさ、エンドーさんさ。」「うん。」「スノーモービルズってさ、雪の彫刻たちって意味になるよね。」「素晴らしいねえ…。あ、オリ、テレビで寛平ちゃんがんばってるよ。」
・・・「雪の彫刻たち」完