遠藤文庫

定期連載「雪の彫刻たち」第二部その1
2002.01.14

今日のBGM「Groove Tube」The Flippers Guitar

「あ、こここうしたほうがいいかも。」「ジャラーン」「あ、いいねえ。」
「Bメロはクリシェでいいかね。」「あ、いいんでない?」「リズムはドンドンターンツカツカドンタンだよね。」「あ、いいねえ。」

1991年2月。その当時といえばハウスミュージックが世界中をグルーヴの渦に巻き込んでいた。あたらしもの好きのキリハラと俺はそれに敏感に反応していた。コンピュータミュージックが当たり前になり、バンドという概念に縛られなくなっていた。それで、意気投合した俺らは、ユニットを組むことにした。これにはあと一つきっかけがある。例年なら軽音楽部は3月にはコンサートやライブなどはやらないのだが、その年は3月にもライブハウスを借りられて、急遽ライブができるようになったのだ。そのライブには、最初から全員ラフに参加することにしていたので、今までの既存のバンドの枠を取っ払い、好きな人と好きな形で、セッション形式でバンドを組み、発表するというものだったのだ。キリハラと俺は、「じゃ、キリハラギター、俺キーボードで、あとはテープを使って。」ということで参加が決まったのだ。

今日はその、キリハラアンド俺のはじめての共作及びバックトラックの録音をしに、キリハラの部屋で悪戦苦闘しているのだった。Aメロキリハラ。Bメロ俺。サビ純粋に共作。という風に順調に進んでいった。「結構楽しいなあ。」俺は思っていた。「リードボーカルはどうする?」「バンドーさん歌ってくださいよ。」「ああ、わかった。」二つ返事で引き受けてしまった。そして、作詞まで。

・・・つづく

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