折原文庫

歌詞の書き方(3)
2011.05.01

で、歌詞を書き始めるわけだが、絶対一行目から書き出すかと言うと、そういうわけでもない。オレの場合は、サビから書き出す場合もよくある。なぜならサビというのはPOPSにおいてはかなり重要なフックとなる必要があるので、よって、なるべく複雑な表現は避ける傾向にある。複雑じゃない表現というのは割とその歌の核心に迫る言葉になるので、まずそれを書いて決めてしまった方が全体のバランスを整えやすいからだ。

 

書いて行く上で、いつもオレの念頭にあるのは、音楽というのは時間を使った表現方法だということ。音楽を聴くという行為には、つまり時間が必要なわけで、つまり、曲の頭からケツまでを、基本的に聴く人は順序立てて聴くのだ。なので、歌詞も基本的に連続性を持って理解されるんだということ。

 

その時間軸とともに重要なのは「連想」だ。例えば人間の頭の中に本棚みたいなのがあって、単語がずらーっと並んでいるとする。隣り合った単語というのは、相互にイメージを補完しあっているのだ。日本語における「行間を読む」ような表現というのは、つまりこういう人の頭の中の本棚の並び順を利用することでできる。

 

例えば、「鳥が空を飛ぶ」という歌詞があったとしよう。ここに出てくる「鳥」「空」「飛ぶ」というのは本棚においては、かなり近くにならんでいる単語なので、表現としてはカットすることが可能なのだ。この歌詞を最も短くした場合の表現は「鳥」になる。

 

いまの話はちょっとわかりにくかったかも知れないけど、ながくなってきたので次回に詳しく書くことにする。

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