折原文庫

お寿司は回る
2003.05.04

オレが生まれ育った町は、房総半島の先の方にある。辺りには勿論海もあるが山もある、いわゆる田舎である。

実はオレは東京に出てくるまで、寿司屋の寿司をほとんど食べたことがなかった。何故かというと地元では寿司は家で作るものだったからだ。田舎の寿司はシャリが寿司屋の2倍の大きさで、ネタは乱切り。見た目はあまり良いとはいえないが、味はバッチリだ。

そういう意味では我が家では寿司はあまり珍しいものではなく、たいして好きでもなかった。

ところが不思議なもので、東京に出てくると、寿司が食べたくても回転寿司以外は値段も敷居も高そうでとても店に入る気にはなれず、回転寿司も大抵どの店もなんとなくキタナイ。食べられないと思うと、なんとなく食べたくなる。気が付いたら寿司は好きな食べ物のひとつになっていた。

もちろん東京の寿司屋事情はオレが東京に出て来た10年前と大差なく、違いと言えば回転寿司チェーンがやけに増えたことくらいだ。もちろんいまだにどの回転寿司屋もなんとなく不衛生に感じることが多い。特にお茶注ぎ用の蛇口が汚れている店などほとんどだと言えよう。

時々寿司が食べたくなってそういう店にも入るが、たらふく食ったあとでもココロのどっかで後悔感が残るのはなぜであろうか。

​ ​