折原文庫

歌詞の書き方(4)
2011.07.10

 

さて、今回からは実践編ということで、実際に書く時のテクニック的なものを綴っていこうと思います。
 
今回は前回ちらっと書いていた「表現の省略」がテーマです。
 
前回書いたように「鳥が空を飛ぶ」が何故「鳥」という一文字まで省略できるかと言うと、それは聞く人が文章を頭から順番に受け取って、ひとつずつ脳内でイメージを固定していくからです。
 
「鳥が」で人は空を飛ぶ鳥をイメージします。なぜなら「鳥」と言う単語には、「空(しかも晴れている)」や「飛ぶ」という言葉を同時にイメージさせる固定観念があるからです。なので省略してもいいということになるわけです。
 
この「表現の省略」を使いまくった場合、歌詞は文章というよりは単語の羅列になって行きます。こういうふうに話だけ聞くと「そんな歌詞は成立しない」と思うかもしれませんが、そうでもありません。具体的な例をあげるなら「さいくりんぐる」の出だし。
 
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梅雨晴れ 自転車 紫陽花の路
追い風 水たまり のぼり坂
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単語がひとつひとつ順番に、聞く人の頭の中にイメージを作り上げていくのがわかると思います。

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