折原文庫

10年
2011.03.31

今の時代、オレのようなアーティストくずれが音楽以外でメシを食っていたとしても、別に驚く人はいないだろうから書くけど、本日、約10年働いた会社を辞めた。

 

20代に覚えたWEBデザインでとりあえずメシを食おうとしたところ、なんだかわけのわからないまま色んな渦に巻き込まれ、気づいたら会社の経営なんかもやっていた。スノモーの活動が止まったのはこの会社に入ってからで、とはいえオレにとってこの会社の仕事は生活の糧を得るということだけでなく、音楽をやることにとても共通するところがあり、楽しく没頭できるものだった。

 

結局辞めることにしたのは、ある時にオレの役割はもうとっくに終わっていたことに気づいたからだ。そうなったら元来の風来坊の血が騒ぎだし、もういてもたってもいられなくなって、気づいた時には辞表を出していた。「神無月のころ」を書いた時から15年経ってもオレの性格はちっとも進歩していない。

 

この会社では本当に色んな事があったが、オレにとっても最も意味があると思えたのは「ひとりじゃなんにもできない」ということを正しく理解できたことだろう。一生つきあっていけるだろうと思える仲間にも少しだけど出会えたし、悔いはないと思えるから、オレの30代はそれほど悪いものではなかったに違いない。

 

明日からの新しい10年は、もうちょっと音楽的な面でも意味のあるものにしていこうと思う。

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