snow mobiles / snow mobiles(text: 2001.10.10)

さいくりんぐる

この曲は実はオリ歌唱バージョンもあって、最終的に僕が歌うことになったんだと思う。それから、間奏のシンセソロは最初プロフェット5のもっと汚い音色だったのだがプロデューサー陣に止められた覚えがある。プロフェット使えて狂喜乱舞状態だったので...。(笑)【遠藤】

このアルバムの中にある6曲のデモがシンクに渡って、僕らはデビューが決まったわけだけど、ある意味この曲はその中でもキーになっていた。最初に曲が出来たころは8ビートっぽかったんだけど、面白くなかったのでむりやりこのリズムにしたらしっくり来た。歌詞も、イメージをもった単語の羅列によって風景が構築されてゆく導入部はさすがオレだね(笑)。【折原】

ビビアン

この曲はオリのデモテープを聞いた段階でもう「やられたな」って思いました。この曲がファーストのキーになっているのは間違いない。繊細な曲なのでオリはずいぶん歌入れに苦労したみたい。中盤のブレイク以降に出てくるパーカッションの「ジョリッ」って音は実はそこら辺にあったくしを指でジョリッっとやったものをサンプラーで加工したものです。【遠藤】

難しい曲だねえ。歌詞は「ものまね」と「オリジナリティ」の配分的に良くできてる故、多分もう二度とはこの手の詩は書かない。ちなみに何でビビアンなのかというと、曲を作っている時に見ていたテレビに出ていたのがビビアン・スーで、ついテロップを見ながら「ビ~ビア~ン」と歌ってしまったからなのだ。その頃ビビアンはまだ無名だったのだが、このアルバムを発売する頃には結構売れてたので、恥ずかしいからオレは誰にもこの曲のタイトルを説明しないようにしようと決めていた【折原】

きみのこと

実はこの曲のドラム(正確にはスネア)は最初生で僕が叩いたんです。それも、一番最初のバージョンは「お菓子の缶」を叩いたんだ。スネアの代わりに(笑)。しかし、ゲートをかけたり加工すればなんとも不思議にいい音がするんだ。スタジオワークのおもしろさをこの曲では満喫しました。最後はあの缶ボコボコだったなあ。【遠藤】

最初に「きみをおもいだす~」のところが自転車に乗っていて思い付いた。そしてそれをふくらめていったらこうなった。ベースには珍しくTB-303も混ぜている。【折原】

神無月のころ

右左から交互に出てくるシンセの音はプロフェットです。この音作りには結構時間をかけました。やはり存在感が違うなあ。【遠藤】

オレが今まで作った曲の中で、最も美しく、永遠である曲。このトラックは間奏部分での広がりが素晴らしい。しかしオレは一生この曲をアレンジし続けるだろうと思う。【折原】

冬の精霊

デモテープの段階ではもっとスカスカなアレンジだったと思うんだけど、寺田さんのミックスにより、混沌とした音になった。曲中、後の遠くのほうで「ゴーッ」とか「ガガガッ」といっているのはミックスの段階で発生したものです。さすが寺田マジック。【遠藤】

ブ。レコーディングなんぞしてみたこともなかったオレ達は、エンジニアのスゴさというものがわかっていなかった。このミックスでは寺田さんは最初から最後までアドリブでやった。まさに偶然と必然が高い次元で鳴っている音楽。【折原】

転がる雷

これは本当に詩がいい。今聞いても泣けてくるよ。レコーディングも終盤に入ってオリにも余裕が出てきたのか、最後はシャウトしているね。目を閉じればそこにロバート・スミスがいる。【遠藤】

所々に入っているドラムのオカズは、実は大変有名なフレーズをサンプリングしたものだ。しかしサンプリングの時にレベルをつっこみすぎたらこんなになった。作ろうとしても作れない音です。歌詞は当時盛岡にあった遠藤さんの家にいく途中の東北新幹線MAXの中で書きました。【折原】

ゆうぐれ薄紫

この曲、デモの段階では間奏がなかったんだ。それで急遽間奏を入れようということになり、オリに8小節の生ベースを弾いてもらった。確かフレットレスだったかな。そんなフレーズでしょ。最後、曲が終わったあとに出てくるフレーズは曲のデータを切り貼りしていく段階で偶然うしろに一小節分だけはみ出してしまったものを消し忘れててそのまま入れようってことになったものです。「千のナイフ」みたいなエピソードでしょ(笑)。【遠藤】

このドラムパターンにはレコーディングの時も今もずっと手こずっている。小節の頭がわからなくなるのだ。それはもう諦めた。ところでオレのフレットレス、ミックスが小さいね(笑)。【折原】

氷質幻想

この曲のデモ段階のメロディーはオリのシングルボイスだったんだ。そこでオリ「遠藤さん、これの上に何か違うメロディーつけてよ」って。考えた末、単純な3度上のハーモニーになってしまった(笑)。今から思うとこれがコーラスバンドへの布石になってたのかもしれない...(無理矢理)。【遠藤】

このコーラスをやっている時に、遠藤さんの声とアナログシンセの音が近いということが解明された(笑)。このトラックでは、全然キーを無視して展開しているパッドが気に入っている。【折原】

夏降る雪のうた

この曲のアレンジはナイスミュージックの影響をもろに受けています。それが佐藤さんと同じレーベルに所属し、公私共に付き合うことになるとは...。人生の不思議や偶然を感じずにはいられないのです。【遠藤】

確か曲は大瀧風のをつくろうと思って書いたような気がする。でも結局アレンジの基本はソウルだと思う。ベースは特に。【折原】

風景と思考

これはスネアを生で録りました。シンクの薄暗いブースの中で、スネアドラム一セットを目の前にしながら、スティックを握り締め、頭の中は「幸宏さん、幸宏さん」といっぱいになりながら。【遠藤】

昔むかし、この曲のことを「ゆうぐれ薄紫」と呼んでいた。だけど遠藤さんが詩に曲をつけた「ゆうぐれ薄紫」ができたので、こっちのを違うタイトルにした。寺田さんがこの曲で行った2つのバージョン違いのミックスが、結果としてその後スノモーのアンビエントユニットであるsnowhereを生み出すことになったとも言えますね。【折原】